2017年12月 9日 (土)

Tessar 50mm F2.8, Carl Zeiss Jena

テッサー第三弾は、1958〜61年に製造されたF2.8のM42マウントのアルミ鏡胴のテッサー。
第二弾の三半テッサーが素晴らしかったので、二八も戦後のコーティングバージョンで比較しましょう。

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Tessar 50mm F2.8, Carl Zeiss Jena + M42-Leica M Adapter
+ Leica M-Sony E Helicoid Adapter + Sony α7II

ヘリコイドアダプターを咬ませることでマクロ撮影も可能になります。Leica M用ではなくて、
M42のヘリコイドアダプターでもよかったのですが、当初は、Leica M10で撮ろうかと思ったので、
この組み合わせになりました。

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Tessar 50mm F2.8, Carl Zeiss Jena + Sony α7II F2.8 1/100 ISO100

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Tessar 50mm F2.8, Carl Zeiss Jena + Sony α7II F2.8 1/1250 ISO100

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Tessar 50mm F2.8, Carl Zeiss Jena + Sony α7II F2.8 1/160 ISO100 マクロ撮影

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Tessar T 5cm F3.5, Carl Zeiss Jena

テッサー第二弾は、戦後の1949〜52年に西ドイツのContax用に東ドイツのCarl Zeiss Jenaで生産され、
Tコーティングされた三半、つまりF3.5のテッサーです。レンズの状態がよく、コーティングされており、
そして、何よりF3.5と明るさ控えめで鷹の目のシャープさが際立つレンズです。

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Tessar T 5cm F3.5, Carl Zeiss Jena + Amadeo Adapter + Leica M10

色合いよく、切れ味もシャープでとてもいい出来ですね。まさに、テッサーの面目躍如です。
それは、三半だからか、それとも、レンズの状態の違いか。

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Tessar T 5cm F2.8, Carl Zeiss Jena + Leica M10 F5.6 1/60 ISO100

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Tessar T 5cm F2.8, Carl Zeiss Jena + Leica M10 F3.5 1/500 ISO100

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Tessar 5cm F2.8, Carl Zeiss Jena

イギリスのトリプレットに押されていたドイツでは、ツァイス社のパウル・ルドルフ(Paul Rudolph)が、
1899年にプロターの貼り合わせ面を薄い空気間隔に置き換えて、ガラスの選択の自由度を増加させた、
ウナーUnarを開発しました。しかし、ウナーは、4群と空気面が多くなり、コーティングのない時代では、
反射による悪影響が見られました。

Unar
Wikipedia ドイツ語版より

その中、ルドルフは、プロターの後群にある強い集光性のある合わせ面にも利点があることに気づき、
1902年、ウナーの前群にプロターの後群を組み合わせて、テッサーTessarを完成させました。テッサーは、
トリプレットの第3レンズを張り合わせのダブレットに置き換えたものとも言えますが、シンプルながら、
トリプレットの残された欠点であった画面中帯部の残存非点収差を補正しており、そのシャープさから、
鷹の目テッサーと呼ばれ(ドイツ語では、Adlerauge鷲の目)、当時の写真界で一世を風靡しました。

当初、明るさはF6.3でしたが、エルンスト・ヴァンデルスレプ(Ernst Wandersleb)によりF4.5に、さらに、
1930年、ヴィリー・ヴァルター・メルテ(Willy Walter Merté)によりF3.5、F2.8まで改良されました。
テッサーは、F2.8の明るさのレンズとしては、現代に到るまで、非常に多くのカメラに採用され続けた、
レンズ史上に名を残す画期的なレンズとなりました。

Tessar
Wikipedia ドイツ語版より

我が家で一番古いテッサーは、戦前の1937~8年製造の、Carl Zeiss Jena製のTessar 5cm F2.8で、
レンジファインダーカメラのConatax用のものです。

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Tessar 5cm F2.8, Carl Zeiss Jena + Contax II (J 1938)

レンジファインダーのContaxマウントは、内爪と外爪の2種類のレンズ装着方法があり、内爪の場合は、
レンズにヘリコイドリングがなく、カメラのマウント側でピント調節を行うという特殊な仕組みです。
ライカに装着する場合は、カプラーと呼ばれる距離計に連動するヘリコイド機能のあるアダプターが必要で、
複雑な機構のため、かなり高価です。同じマウントを採用する旧ソ連製カメラのキエフのボディーから、
マウント部分のみを取り出した廉価なアダプターもありますが、ベネズエラのAmedeo Muscelli氏が、
自宅の工房で製造する、内爪の50mmレンズ専用のアダプターが最近発売されたので入手してみました。

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Amedeo Zeiss Contax 5cm - Leica M Adapter + Leica M10

このアダプターは、ヘリコイドの回転方向がライカと同じ方向になったフォーカシングレバーがついていて、
コンタックス用レンズを、まるでライカ純正レンズの様に装着することができます。戦前、コンタックスと、
ライカのどちらが優れているかという論争がありましたが、カメラのボディーの信頼性はライカが上でも、
レンズ性能は、コンタックス用のツァイスに軍配が上がりますので、ライカボディーに、ツァイスレンズを
装着する夢のコンビが、50mmの内爪専用とはいえ、まるで純正の様に実現するのはすごいですね。

また、この沈胴式のテッサーは、デザインが秀逸で、いかにもコンタックスという感じで素敵です。
ただ、このレンズ、フードをどのように装着するかよくわかりません。調べてみると、戦前の純正フードは、
何やら折り畳み式の四角いフードで、マウント部分からレンズ全体を覆うようで、ピントや絞りの操作に、
支障をきたすようで実用的ではありません。しかし、フードは必要なので、被せ方式を検討していましたが、
我が家にあったARORA Series VI Lens HoodとAdapter Ring 42mmというハメ込み式のフードが、
テッサーの絞りリングの外側の溝にピッタリはまりました。そして、このフードを差し込むと、何と、
フードを回せば絞りが調整できるのです。純正以上に、メリットのある実用的なフードでした。

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ARORA Series VI Lens HoodとAdapter Ring 42mm
            Tessar 5cm F2.8, Carl Zeiss Jena + Amadeo Adapter + Leica M10

さて、この戦前のテッサーで撮影してみると、少し曇りがあるようで、また、逆光にも弱いので、
あまり実用的ではありませんでした。

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Tessar 5cm F2.8, Carl Zeiss Jena + Leica M10 F5.6 1/60 ISO100

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Tessar 5cm F2.8, Carl Zeiss Jena + Leica M10 F2.8 1/750 ISO100

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2017年11月12日 (日)

プレシジョンスポーツ 4万キロ突破でクランク交換

プレシジョンスポーツのチェーンとスプロケットを交換して、後輪の歯飛びはなくなったのですが、
非常に強いトルクをかけたり、段差を越えながらペダルを漕いでいると、クランク側で歯飛びするので、
4万キロ走破のご褒美で、オリジナルのスギノ製のクランクを交換することにしました。

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スギノ製のオリジナルクランク

交換したのは、シマノ製のACERAクラスのFC-M361です。ACERAは、今や9速になってしまったので、
8速用の旧モデルも在庫限りかもしれませんので、まあ、よいタイミングだったと思います。
クランクの交換には、専用工具なども必要なので、サイクルベースあさひのお店に交換作業を頼みました。
旧パーツを取り外すのが、大変そうでした。クランクに伴って、BBカートリッジも交換しました。

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シマノ製ACERAクランク FC-M361

交換したら、もちろん歯飛びはなくなり、また、剛性が高くなり、思い切りトルクもかけられるので、
いい感じです。

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2017年10月 9日 (月)

Heliar Vintage Line 50mm F3.5

1900年、フォクトレンダー社のハンス・ハルティング(Hans Harting)は、トリプレットの3枚のうち、
前群と後群を貼り合わせにしたヘリアーを開発しました。さらに3年後には、貼り合わせ面の凹を凸に替え、
改良してダイナーとしましたが、第一次大戦後、ダイナー型を復活する際に、名前をヘリアーに戻しました。
ヘリアーは高級レンズとして知られましたが、同時期に、ライバルのツァイス社が開発したテッサーの方が、
貼り合わせが少なかったこともあり、圧倒的に普及しました。しかし、フォクトレンダー社にとっては、
レガシーなので、日本のコシナ社がフォクトレンダーのブランドを復活した後も、度々復刻してきました。

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Heliar (1900)、 Color-Heliar (Dynar) Wikipediaより

クラシカルテイストのオリジナルデザインの外装が採用されたヘリアーが、昨年発売されました。これは、
101年目の2001年に、BESSA T HELIAR 101 YEARS MODELとしてカメラとセットで限定発売された、
沈胴式スクリューマウントのHeliar 50mm F3.5をVMマウントの固定鏡胴にしたもので、最短撮影距離も、
0.7mと短くなり、距離計にも連動します。そして、アメリカのThe Nikon Historical Society特注品の、
BESSA R2S NHS Specialとして限定発売されたモデルの鏡胴を踏襲した素晴らしいデザインです。

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Heliar Vintage Line 50mm F3.5 VM, Voigtländer-Cosina レンズ構成図はコシナのHPより

距離計連動のレンジファインダー用レンズですので、ここは、Leica M10の出番です。もちろんα7IIでも、
周辺画像に問題はありませんが、鏡胴も細まっているので、ライカの方がデザイン的にはマッチしますね。

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Heliar Vintage Line 50mm F3.5 + Leica M10

明るさは、F3.5と控えめですが、非常にシャープで、豊かさも兼ね備えた味わいを楽しみましょう。
ライバルのテッサーも、三半が名玉ですから、この明るさに控えることは、何かあるのでしょうか。
近所の王子稲荷神社は、広重が江戸名所百景で「王子稲荷の社」として描いた神社ですので、同じ構図で。

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歌川広重「王子稲荷の社」 Wikipediaより

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Heliar Vintage Line 50mm F3.5 + Leica M10 F5.6 1/60 ISO1600

豊かな色彩感とシャープさがよくわかります。

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Heliar Vintage Line 50mm F3.5 + Leica M10 F5.6 1/60 ISO2500

F3.5の開放でも、結構ボケの味わいもありますね。

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Heliar Vintage Line 50mm F3.5 + Leica M10 F3.5 1/60 ISO4000

現代的な写りとオールドらしい写りが共存しているとも言えますね。

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Heliar Vintage Line 50mm F3.5 + Leica M10 F3.5 1/45 ISO6400

全てJpeg無編集で、サイズ変更のみです。

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