今日は、久しぶりにオペラを見て来ました。
今年の10月に王子の北トピアで無料の「奥様女中」を見てはいるのですが、
ちゃんとした公演は、2007年のベルリン国立歌劇場のトリスタンとイゾルデ以来です。
そして今日の演目は、新国立劇場でのトリスタンとイゾルデで、指揮は大野和士さんでした。
大野和士さんとは、1986年にミュンヘンで語学研修をしていた時、毎晩の様に、
バイエルン国立歌劇場やヘラクレスザールでご一緒させて頂いた仲ですので、
今や世界のマエストロとなって、大好きなトリスタンを振ってもらえるのですから、
何としても聞きに行かなくてはならなかったワケです。

TRISTAN UND ISOLDE
Conductor : 大野和士***
Production : David McVicar***
Tristan : Stephen Gould***
König Marke : Guido Jentjens**
Isolde : Iréne Theorin***
Kurwenal : Jukka Rasilainen***
Melot : 星野淳*
Brangäne : Elena Zhidkova***
Ein Hirt : 望月哲也**
Ein Steuermann : 成田博之*
Stimme eines jungen Seemanns : 吉田浩之*
Chorus : New National Theatre Chorus
Orchestra : Tokyo Philharmonic Orchestra
トリスタンとイゾルデの上演の勝負所は第三幕です。
普通、盛り上げ易い第一幕を頑張った後、第三幕に力を温存するため、やや気の抜ける第二幕、
そして、第三幕はやっぱり駄目だったというパターンになりがちなのに対して、
今日は、第一幕がややおとなしい印象だったのですが、
第二幕に手抜きが全くなく、これで第三幕は大丈夫か心配する位非常に盛り上がり、
そして勝負の第三幕にトリスタンが完全勝利し、最後は、本当に素晴らしい出来でした。
トリスタン役のシュテファン・グールドは、2001年のバイエルン国立歌劇場来日公演のトリスタンでも、
メロート役で出演していますが、今回は、バイロイトやウィーンでジークフリートを歌うというキャリアを積んで
初のトリスタンを今日、ここ日本の新国立劇場で披露してくれたのですが、
これが、非常に美声であり、かつ力強く、びっくりする位すばらしい出来でした。
ルックスもトリスタンにピッタリですし、現役では最高のトリスタンと言えるのではないでしょうか。
その初役に立ち会えたのは、本当によかったですね。
イゾルデは、今年バイロイトの上演(2009年公演)が衛星放送でも放映されたイレーネ・テオリン。
これまた、現役最高のイゾルデのひとりで、大変力強く、期待通りの素晴らしさでした。
ブランゲーネも、可愛らしい程華奢な体型なのに、芯のあるとても良い声で、素晴らしかったです。
薔薇の騎士のオクタヴィアンを見たかったです。
クルヴェナールは、合格。
マルケ王は、これは好みの問題なのですが、バリトン声なので、どうしても重みに欠けてしまい、
私のマルケ王のイメージとはずれてしまいました。歌唱そのものはよかったんですけど。
演出は、言い出したらキリがありませんが、とにかく、視覚的にとても美しい舞台であり、
音楽を壊していない点は、最近のドイツ系の演出過多の上演と比べて、好ましいと思いました。
また、媚薬を飲む前から、トリスタンとイゾルデが惹かれ合っているのが強調されいて、
結局、この物語は、二人の心中物語だ、というコンセプトが一貫しているようでした。
大野さんの指揮も、最初からあまり盛り上げ過ぎず、最後の愛の死まで一直線に盛り上げて行く感じで、
非常にスケールが大きく、特に第三幕は、トリスタンの大奮闘との駆け引きが凄まじかったです。
あと、ひとつだけ残念だったのは、オーケストラの東京フィル。
今日は、肝心なところでトチリが多発していました。
レコーディングではなく生演奏ですから、多少のミスに目くじらを立てるつもりはありませんが、
大野さんの集中力に見合う演奏を、お願いしますね。応援していますから。
これまで、幾多のトリスタンとイゾルデを見てきました。
トリスタン役はルネ・コロ、イゾルデ役は、ギネス・ジョーンズかワルトラウト・マイヤー、
マルケ王役はクルト・モル、クルヴェナール役はベルント・ヴァイクル、
ブランゲーネ役は、ハンナ・シュヴァルツかヴィオレッタ・ウルマーナ(もし見ていればワルトラウト・マイヤー)、
指揮は、クラウディオ・アバード、演出は、ジャン・ピエール・ポネル
といった所が、いいとこ取りになりますが、
今日の上演は、オケを除けば、これらの最高水準に十二分対抗出来る素晴らしい出来で大満足でした。
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