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2017年9月18日 (月)

α7IIで CONTAX Gレンズを使う

フィルム時代のCONTAX Gレンズも、フルサイズミラーレスのSony α7シリーズの登場によって、
フォーカシング機能付きマウントアダプターを利用すれば、そのままの画角で撮影できる様になりました。
ただ、HologonやBiogonといったバックフォーカスの短い対称型の広角レンズの場合は、
1. 周辺光量落ちが目立つ
2. 周辺が色被りする
3. 周辺画像が流れる
といった問題が発生するようで、Hologon G 16mm F8はサイレントシャッター限定で、かつ、
フィルムとの格差が顕著、Biogon G 21mm F2.8もかなり問題点が目立つようです。

周辺光量落ちと色被りについては、α7シリーズの各モデルによってその程度がかなり異なっているので、
画素数や裏面照射型かどうかというセンサーのテレセントリック特性に依るところが大きいと思いますが、
周辺画像の流れは、斜めに受光すると、センサー前のガラスフィルターによってピント面がズレて、
通常とは逆側に像面湾曲が発生することが原因のようです。

バックフォーカスに余裕のあるダブルガウス型のPlanar G 35mm F2と45mm F2については、
問題は起こらないと思っていたのですが、実際に撮影してみたところ、開放では、若干の周辺光量落ちと、
周辺画像の流れがみられました。これは、程度は少ないながら、やはり、センサー前のガラスフィルターの
影響があると思われます。しかし、さらに驚いたのは樽型の歪曲収差が見られたことです。

Planar35 Planar35_2
Planar G 35mm F2 + Sony α7II  F2 1/400 ISO100 右上隅の等倍

Planar45 Planar45_2
Planar G 45mm F2 + Sony α7II  F2 1/400 ISO100 右上隅の等倍

そこで、歪曲収差のないのが特徴の対称型広角レンズであるBiogon G 28mm F2.8の場合を見てみると、
なんと、こちらも樽型の歪曲収差が見られます。CONTAX G2でフィルム撮影したものには、もちろん、
歪曲収差はありません。これは、どうしたことでしょう。歪曲収差がないのがBiogonの特徴なのに、
その特徴をα7IIでは活かせないのです。

G2biogon28 7iibiogon28
Biogon G 28mm F2.8 + CONTAX G2 F2.8 と Biogon G 28mm F2.8 + α7II F2.8
G2biogon28_2 7iibiogon28_2
Biogon G 28mm F2.8 + CONTAX G2 F2.8 と Biogon G 28mm F2.8 + α7II F2.8

ここで気が付いたことがありました。α7IIでの撮影では、マウントアダプターを利用していることから、
レンズプロファイル(レンズ補正)が適用されません。そこで、LightroomでRAW現像を行う際、
レンズ構成の設計が近いBiogon ZM 28mm F2.8のレンズプロファイルを適用してRAW現像してみると、
周辺光量落ちと歪曲収差は見事に補正されました。Planar G 35mmと45mmについても、それぞれ、
Color-Skopar VM 35mm F2.5とPlanar ZM 50mm F2のレンズプロファイルを適用すると、
ここまで補正されました。

7iibiogon28_3 7iibiogon28rawzm
Biogon G 28mm F2.8 + α7II F2.8 jpeg と Biogon ZM 28mm F2.8のレンズプロファイル適用

Planar35_3 7iiplanar35rawskopar
Planar G 35mm F2 + α7II F2 jpeg と Color-Skopar VM 35mm F2.5のレンズプロファイル適用

Planar45_3 7iiplanar45rawzm
Planar G 45mm F2 +α7II F2 jpeg と Planar ZM 50mm F2のレンズプロファイル適用

つまり、α7IIとフィルムカメラでは、同じくフルサイズで撮影できるといっても、センサーの特性や、
センサー前のガラスフィルターの存在によって、そもそもの光学的条件が異なってしまうので、
フィルムカメラ用に設計されたレンズは、レンズ毎に適切に補正を掛けなければ、その本来の性能を、
α7IIでは発揮できないのです。そして、周辺光量落ちと歪曲収差は、RAW現像でのレンズプロファイルや、
カメラ内レンズ補正アプリの適用によって補正可能なものの、逆像面湾曲による周辺画像の流れは、
ソフトウェアでは補正できません。

Biogon G 28mm F2.8については、ライカMマウントに改造して、Leica M10にて撮影することで
解決しようと思いますが、α7IIでも大丈夫だと思っていたPlanarの2本については、周辺光量落ちと
歪曲収差はレンズプロファイル適用で補正し、周辺画像の流れは、絞って回避するしかないのでしょうか。
開放は、ボケを求める場合ですから、周辺画像の流れは、気にしないと割り切ればいいのでしょうが、
ここで、ety_oさんより大変興味深い情報が寄せられました。

センサー前のガラスフィルターによる逆像面湾曲を、新たに(正の)像面湾曲を発生させて打ち消せば、
周辺画像の流れはなくなるのではという考えです。戴いた情報によると、焦点距離1500mmの平凸レンズを
レンズフロントに追加することで打ち消せるということですが、そのシグマ光機製の業務用レンズは、
MC仕様で定価8750円(税抜き)とかなり高価で、レンズへの装着もやや面倒な部分もあるので、
ニコンのクローズアップレンズを使う方法を試してみました。

Nikon Close-up Attachment Lens No.0という絶版になった商品ですが、焦点距離は1400mmで、
厚みは7.5mm、シュヴァリエの風景レンズと同じ様に、色消しのダプレットの凸メニスカスレンズです。
メルカリで850円で手に入れた物は、箱にはCマークがありますが、レンズには .c の刻印がないので、
マルチコーティング仕様かどうか不明です。

Closeupno0 Stepup465255
Nikon Close-up Attachment Lens No.0 と Step-up Ring 46mm-52mm、52mm-55mm

フィルター径は52mmなので、Planar G 35mmと45mmには、46mm-52mmのステップアップリングを
噛ませれば装着できます。52mm-55mmのステップアップリングは保護を兼ねたフード代わりにつけます。
通常、クローズアップレンズを装着すると、最短撮影距離が縮み、焦点可能範囲が手前に移ることから、
無限遠のピントが合わなくなるのですが、CONTAX Gレンズの場合は、元々がオートフォーカスなので、
フォーカシング機能のあるマウントアダプターを利用することによって、オーバーインフが可能になるので、
この程度の倍率のクローズアップレンズならば、装着しても無限遠でピントを合わせることが出来ます。
それでは、クローズアップレンズを装着して、レンズプロファイルは適用せずに撮影してみましょう。

Planar35closeup Planar35closeup_2
Planar G 35mm F2 + Nikon Close-up Attachment Lens No.0 + α7II F2 右上隅の等倍
Planar35 Planar35_2
Planar G 35mm F2 + α7II F2 右上隅の等倍

Planar45closeup Planar45closeup_2
Planar G 45mm F2 + Nikon Close-up Attachment Lens No.0 + α7II F2 右上隅の等倍
Planar45 Planar45_2
Planar G 45mm F2 + α7II F2 右上隅の等倍

周辺光量落ちは残りますが、歪曲収差と周辺画像の流れは、開放でもかなり改善されています。
周辺光量だけRAW現像時に修正すれば、良好な画像が得られそうです。つまり、樽型歪曲収差は、
センサー前のガラスフィルターによる逆像面湾曲によって発生していたと考えられますね。
Biogon G 28mm F2.8に装着しても、歪曲収差と周辺画像の流れは改善されています。

Biogon28closeup Biogon28closeup_2
Biogon G 28mm F2.8 + Nikon Close-up Attachment Lens No.0 + α7II F2.8 右上隅の等倍
Biogon28plain Biogon28plain_2
Biogon G 28mm F2.8 + α7II F2.8 右上隅の等倍

クローズアップレンズありで、周辺光量のみ補正した場合と、クローズアップレンズなしで、
レンズプロファイルを適用した場合を比べてみました。クローズアップレンズを使用した方が、
周辺画像の流れがなくて、やはり良い結果になっていますね。(クリックで拡大します)

Biogoncu Biogoncu_2
Biogon G 28mm F2.8 + Nikon Close-up Attachment Lens No.0 + α7II F2.8 と 周辺光量補正

Biogon Biogonzm
Biogon G 28mm F2.8 + α7II F2.8 と Biogon ZM 28mm F2.8のレンズプロファイル適用

実は、シュヴァリエ風に、凸メニスカスレンズであるクローズアップレンズを、リバースリングを使って、
逆向きに装着すると、像面湾曲の修正効果が強まります。Biogon G 28mm F2.8の場合、逆向きの方が、
周辺画像はさらに良くなるのですが、歪曲収差がやや過剰補正されて結果がほんの少し糸巻型になるのと、
アタッチメントが伸びることから少しだけケラれてしまい、絞った時に目立ってしまいます。逆向き装着は、
樽型歪曲収差が目立つPlanar G 45mm F2の方が、ケラレの心配もなく適している様です。

Biogon28closerev Biogon28closerev_3
Biogon G 28mm F2.8 + α7II F2.8 Nikon Close-up Attachment Lens No.0 Reverse Setting

Planar45closerev Planar45closerev_2
Planar G 45mm F2 + α7II F2 Nikon Close-up Attachment Lens No.0 Reverse Setting

結局のところ、フィルムカメラ用のレンズをα7IIで利用するときは、周辺での色被りがなかったとしても、
バックフォーカスの短い対称型のレンズに限らず、それぞれ光学特性の変化の影響を考慮する必要があり、
周辺光量落ち、周辺画像の流れ、歪曲収差の程度によって、レンズプロファイルを適用してレンズ補正し、
必要なら、さらに絞って周辺画像の流れを回避するか、または、オーバーインフが可能な場合であれば、
クローズアップレンズを装着して、必要なら周辺光量を補正するといった対応が必要なようです。

そうすると、対応の良し悪しによって出来上がりに大きな差が生じるわけで、レンズ本来の性能とは、
一体何なのか、α7IIでは、よくわからなくなってしまいますねぇ。

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コメント

Planar G 45mm, 35mmについての検証、また、歪曲からのアプローチ等、大変参考になります。
センサー前のガラスフィルターは、SONY Eマウントの仕様として受け止めるしかなさそうですが、Leica M10の対応は素晴らしいようですね。

投稿: ety_o | 2017年9月20日 (水) 17時55分

ety_oさん

コメントありがとうございます。戴いた情報に居ても立っても居られなくなり、
クローズアップレンズを入手してしまいました。
これまで不思議に思っていたことが整理されて、大分理解できてきました。
本当に、良い情報をありがとうございました。

投稿: Harlekin | 2017年9月20日 (水) 20時34分

こんにちは。
なんとなく思ったのですが、Planar35mmも45mmもデータ上は歪曲が1.2~1.5%と大きめのレンズなので、プロファイルの適用なしの方が真ではないかと思うのですが・・

投稿: とおりすがりこ | 2018年3月20日 (火) 04時08分

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