« α7IIで CONTAX Gレンズを使う | トップページ | Triplet 78mm F2.8 »

2017年9月23日 (土)

Triplet / Domiplan 50mm F2.8

1890年、ツァイス社のパウル・ルドルフ(Paul Rudolph)は、低分散高屈折率のバリウムガラスを使い、
球面収差、コマ収差、色収差に加えて、像面湾曲と非点収差を十分に補正したアナスチグマートを発明し、
収差が残っていた古典レンズの時代に別れを告げました。後にProtarと呼ばれた2群4枚のそのレンズは、
しかしながら、あまり普及しませんでした。

529pxzeissprotartextsvg_2
Wikipedia英語版より

それは、1893年、イギリスのクック社のハロルド・デニス・テーラー(Horold Dennis Taylor)が、
トリプレットTripletを発明したからでした。トリプレットは、特別なガラスも使わず、貼り合わせもなく、
凸凹凸の3枚のレンズを離して配置するだけで、二つの色収差と五つのザイデルの収差を補正できるので、
非常に効率的だったのです。その後、この変形や発展形が数多く誕生しましたが、原形でも完成度は高く、
製造コストが安く済むことから、近年まで廉価品に採用されたり、また、中央部の解像力が抜群に高く、
ヌケもよいことから、その設計は多くの望遠レンズにも採用されました。

440pxcooketriplettextsvg_2
Wikipedia英語版より

最近になってトリプレットが注目されるようになったのは、Meyer-Optik Görlitz社のTrioplan 100mm
F2.8で撮影された写真のボケが、シャボン玉の様なバブルになって美しいとの評判が高まったからです。
Meyer-Optik Görlitz社は、1896年に、ドイツのドレスデンの東100キロ、ポーランドとの国境にも近い
ゲルリッツGörlitzで設立され、1913年に最初のトリプレット型のTrioplanの生産を開始し、その後も、
長らくトリプレット型のレンズを製作し続けたレンズメーカーです。戦後の社会主義の東ドイツ時代には、
ツァイス社などと合併させられてペンタコン人民公社の一員となり、レンズ銘もPentaconやPrakticarと
なりましたが、ドイツ再統一後に会社は消滅してしまいました。

Trioplanのバブルボケの評判が高まると共に、中古のTrioplanの価格が高騰、100年目を目前にして、
Meyer-Optik Görlitz社は復活し、現代の技術で再びトリプレット型のTrioplanの生産を開始しました。
そのお値段は、Trioplan 100mm F2.8が€1,499、50mm F2.9が€1,399、35mm F2.8が€1,599です。
バブルボケは確かに美しいのですが、ちょっと値段は高すぎますよね。そこで、探し出してきたのが、
同社が1960年代に製造していたDomiplan 50mm F2.8です。これは、同社のTrioplan 50mm F2.9の
後継モデルですが、すでに同社の全盛期が過ぎた時代の製品で、廉価品として販売されていましたので、
貴重なトリプレットですが、今でも、大変お安く手に入れることができます。

P1030464_2 Domiplan
Domiplan 50mm F2.8 M42, Meyer-Optik Görlitz レンズ構成図は「東ドイツカメラの全貌」より

ただし、この時代の製品は、あまり精巧には作られていないので、様々な不具合も出やすいようで、
今回入手したレンズも、絞りは開放のままで、絞ることができません。ただ、バブルボケを出すには、
開放にする必要がありますから、それが目的ならば、特に問題ありません。今回、ドイツのeBayで、
落札した値段は、不具合があるので、送料込みで2400円ほどでした。Domiplanのもう一つの弱点は、
最短撮影距離が0.75mと、バブルボケを出しやすい近接撮影が不得手なことですが、α7IIに装着する際に、
マウントアダプターをヘリコイド内蔵型にすることによって、簡単に解決できます。

P1030463_2
Domiplan 50mm F2.8 M42 + M42 Helicoid Adapter + M42 Sony E Slim Adapter + α7II

M42マウントですので、バックフォーカスは十分にあり、α7IIでも周辺画像の流れはありませんが、
元々、樽型の歪曲収差がほんの少しあるので、RAW現像時に、一眼レフ用の標準レンズということで、
Summicron-R 50mm F2のレンズプロファイルを適用すると、うまく歪曲収差が補正されました。

Dsc01022
Domiplan 50mm F2.8 M42 + α7II F2.8 1/60 ISO125
(Summicron-R 50mm F2のレンズプロファイル適用)

復刻版の80分の1の値段でも、美しいバブルボケが見られますね。


|

« α7IIで CONTAX Gレンズを使う | トップページ | Triplet 78mm F2.8 »

カメラと写真」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: Triplet / Domiplan 50mm F2.8:

« α7IIで CONTAX Gレンズを使う | トップページ | Triplet 78mm F2.8 »